海原は 鴎立ち立つ
大和には 群山(むらやま)あれど
とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば
国原は 煙(けぶり)立ち立つ
海原は 鴎(かまめ)立ち立つ
うまし国そ 蜻蛉島(あきつしま) 大和の国は
望国(くにみ)歌
古代、春先に村落の人々が村を一望できる丘に上って国讃(くにぼ)めの歌を歌ってその年の作物の豊作を願った
よって、この歌は山の上から見た情景をそのまま歌にしているというよりも、多分に希望が含まれている
「煙立つ」 は、家々のかまどから上る煙のことで、民の食が満たされている事を望んでいる
これを あらかじめ祝う行為『 予祝(よしゅく)』 という
立ち立つ が繰り返されるリズムが良さは、古代の歌謡の名残りを感じる
「秋津島」 は、ヤマトにかかる枕詞である
本州の古名を『大和豊秋津島(おおやまととよあきづしま)』といったことからきているのだろうか
あきづしまは蜻蛉島とも表記される
トンボは稲の害虫を食べてくれることから、トンボが飛びかう様子が豊作を意味したのかもしれない
やまとには むら山あれど
とりよろふ あめの香久山
登り立ち 国見をすれば
くにはらは けぶり立ち立つ
うなはらは かまめ立ち立つ
うまし国ぞ あきづしま やまとの国は