古歌集

万葉集・古事記・百人一首・伊勢物語・古今和歌集などの歌の観賞記録

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

真葛原 なびく秋風

真葛原(まくずはら) なびく秋風 吹くごとに 阿太(あだ)の大野の 萩の花散る 詠み人しらず ツルを旺盛に延ばして群生する葛の葉を揺らす秋風が阿太(奈良県阿田)の萩の花を散らす… 秋になると自然に口づさみたくなる歌 葛原に「真」をつけることで下につく言葉は…

朝けの風は たもと寒しも

秋立ちて 幾日(いくか)もあらねば この寝ぬる 朝明(あさけ)の風は 手本(たもと)寒しも 安貴王(あきのおおきみ) ほんの数日前までは暑くて寝苦しかったのに、ふいに明け方の風の寒さに目が覚める 夏の空気から秋のそれへと切り替わった瞬間に感じる繊細な変化…

二人行けど 行き過ぎがたき

二人行けど 行き過ぎ難き 秋山を いかにか君が 独り越ゆらむ 大伯皇女(おおくのひめみこ) 大伯皇女は伊勢の斎宮だった 弟の大津皇子は自らに迫り来る身の危険を感じ、はるばる山を越えて姉の元を訪れた 姉弟の父は天武天皇、母は大田皇女 天武天皇が崩御して…

家にあれば 笥に盛る飯を

家にあれば 笥(け)に盛る飯(いひ)を 草枕 旅にしあれば 椎(しひ)の葉に盛る 有間皇子(ありまのみこ) この歌は、有間皇子が謀反の罪によって白浜の方へ護送される途中に歌った辞世の句の一首 ~家であれば器に盛られる食事も旅であれば椎の葉が器か… 旅は、現…