2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧
狩りくらし たなばたつめに 宿借らむ 天の河原に 我は来にけり 伊勢物語、惟喬(これたか)親王の伴をして在原業平らが狩りで天の河(現在の大阪府枚方市天野川)までやって来た 親王は業平にこれを題材にした歌を所望した そうして作った歌としてとりあげられて…
風そよぐ ならの小川の 夕暮れは 禊ぎぞ夏の しるしなりける 藤原家隆 …涼やかな風の吹く、ならの小川の夕暮れ時は、まるで夏越しの祓の行事だけが夏の名残のようである… 鎌倉時代初期の歌人家隆の、夏になれば必ず口づさみたくなる歌 夏越し祓えが行われる…
春されば 卯の花腐(く)たし 我が越えし 妹(いも)が垣間は 荒れにけるかも 詠み人知らず 万葉集巻第十の中の、春の相聞(そうもん)の『花に寄する』に分類された歌 低木である卯の花の垣根を乗り越えながら通ったあの娘の家の垣根は今ではすっかり荒れてしまっ…
もの思えば 沢の蛍も 我が身より あくがれ出ずる 魂(たま)かとぞ思ふ 和泉式部(いずみしきぶ) 和泉式部についてまず言われるのは、恋多き女性 実際はどうだったのだろう 実際のところ噂に違わぬ恋愛遍歴と、何にもまして女流歌人の第一人者といえる数々の明…