古歌集

万葉集・古事記・百人一首・伊勢物語・古今和歌集などの歌の観賞記録

人には告げよ 海人の釣り舟

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わたの原 八十島(やそしま)かけて 漕ぎ出でぬと

                          人には告げよ  海人(あま)の釣り舟

                                                              小野篁(たかむら)

 

この歌は小野篁隠岐の島へ一時的に流罪になった時の歌

 小野篁はユニークなエピソードのある興味深い人物だ

 最もユニークなのが、昼は官職には就き、夜は冥府の役人として閻魔大王に仕えたという

身の丈は大柄で気骨があって曲がったことが大嫌い

漢詩や書が優れていた

 小野氏といえば、遣随使の小野妹子、絶世の美女小野小町、能書家の小野道風など一族に有名人は多い

小野妹子は篁の遠い祖先、道風は篁の甥にあたるようだ

小野小町と篁との繋がりはさだかではないがほぼ同時代に生きていた

 

小野篁が冥府に通う入り口として使っていた井戸が、京都東山の麓の寺にある

その辺りから先に鳥辺野という火葬などが行われた葬送の地があり、まさにそこがこの世とあの世との境の地と見なされた

 

篁は閻魔大王のもとで夜な夜な何を見て何を行っていたのだろうか…