夏野の草を なづみ来るかも
父母に 知らせるぬ子ゆえ 三宅通(みやけぢ)の
夏野の草を なづみ来るかも
万葉集巻第13より
~父母にはまだ知らせていない娘ですから、三宅村の生い茂る夏草の道をかきわけて通って行くのです(私訳)~
うちひさつ 三宅の原ゆ 直(ひた)土に
足踏み貫き 夏草を 腰になづみ
いかなるや 人の子故そ 通はすも我子…
~三宅道のでこぼこ道に足をとられながら、腰まで伸びた夏草を掻き分けて、いったいどこの娘のもとへ通っているのね、我が息子よ…(私訳)~
そういう問い掛けに、息子が答えた歌がはじめの歌
この頃は夫が妻のもとに通う通い婚だった
この歌では“父母"とあるが、万葉集には“母父(おもちち・あもしし)"となっている歌もあり、この頃がちょうど母から娘へ家の特権を引き継ぐ母系社会から大陸文化による父系制への変遷の時期だったと思われる
■ ちはやふる 神のみ坂に 幣(ぬさ)奉り
斎(いは)ふ命は 母父が為