やまぶきの 立ちよそひたる 山清水
やまぶきの 立ちよそひたる 山清水
汲みに行かめど 道の知らなく
高市皇子(たけちのみこと)
『十市皇女の薨ぜし時に高市皇子尊の作らす歌三首』として万葉集巻第二に採られた歌
十市皇女(とをちのひめみこ)も高市皇子も天武天皇を父にもつ異母姉弟である
およそ同年代で十市皇女は壬申乱でやぶれた大友皇子の妻であり、高市皇子は壬申乱に勝利した父の天武天皇方の総大将だった
十市皇女は大友皇子の死の時いまだ二十歳前後とみられ、それから約6年後「にはかに病おこりて宮の中に薨ず」とあり自殺という説もある
高市皇子と十市皇女は密かな恋人だったのではないかといわれるが、この当時頃まで異母兄弟姉妹での結婚はみられる
歌にあるヤマブキと山清水の示すものは、シルクロードの影響があるともいわれる
紀元前2500年シュメール人は太陽が西に沈む時、その西方には生命復活を司る植物があり、その側に再生の切符が手に入る水があると考えた
ヤマブキの側にある山清水を手に入れて皇女の復活を望むけどその場所すら分からない、と嘆く歌である
■山振の 立ち儀ひたる 山清水
酌みに行かめど 道の知らなく